2026年1月22日木曜日

稚内を目指した冬の北海道旅 〜「行かない」という選択が教えてくれたこと〜(最終話)

 

今回の北海道旅行は、結果として「稚内に行けなかった旅」でした。

それは事実ですし、最初に描いていたゴールに辿り着けなかった、という意味では
未完の旅だったのかもしれません。

けれど今、振り返って強く思うのは、この旅は、私自身の仕事——登山ガイドという立場に、深くつながる旅だったということです。


判断とは、「正解を当てること」ではない

登山でも、旅でも、私たちはつい「正解」を探してしまいます。

  • 行くべきだったのか

  • 行かなかったのは臆病だったのか

  • もう少し待てば状況は変わったのではないか

けれど、実際の現場にあるのは結果がわかる前の判断だけです。

天候、交通、時間、体力、経験。

限られた情報の中で、「今、この時点でどうするか」を決めること。

今回の旅で繰り返していたのは、まさにその連続でした。


ガイド業で、私が一番大切にしていること

登山ガイドとして、私が一番大切にしているのは、 「行くこと」ではなく、「無事に帰ること」です。

山頂に立つことは、確かに魅力的です。

けれど、山頂に立たなくても、価値のある登山はいくらでもあります。

むしろ、

  • 天候が崩れそうなとき

  • ペースが想定より遅れているとき

  • 不安を感じる参加者がいるとき

そんな場面で「今日はここまでにしましょう」と伝える判断こそ、ガイドの責任だと思っています。


「行かない決断」は、失敗ではない

世の中では、撤退や中止、変更はどうしてもネガティブに受け取られがちです。

でも私は、行かない決断は、失敗ではなく“成功の一部”だと考えています。

無理をしない。

リスクを過小評価しない。

そして、次につなげる余白を残す。

今回の旅で稚内に行かなかったことも、まさにそれでした。


どうやって「行かない判断」を伝えるか

ガイドとして難しいのは、判断そのものよりも、伝え方です。

「残念ですね」

「今回は行けません」

その一言で終わらせてしまうと、どうしても“奪われた感”が残ってしまいます。

だから私は、なぜそう判断したのか その判断が何を守っているのかを、できるだけ丁寧に伝えるようにしています。

今回の旅でも、自分自身に対して、同じことをしていました。


辿り着けなかった場所は、次の理由になる

稚内は、まだ地図の先にあります。

けれどそれは、「失われた目的地」ではありません。

「次に行く理由が残った場所」です。

登山も同じです。

撤退した山は、次の挑戦を否定しません。

むしろ、より良い条件で、より良い判断をするための材料になります。

(日本最北端の地「稚内」)



この旅を、これからのガイドに活かす

今回の北海道旅行は、

  • 判断に迷う時間

  • 情報を集め続けた過程

  • 行き先を変える決断

  • そして納得して帰る選択

そのすべてが、これから私が現場で行う判断の、確かな土台になりました。

「行けるか」ではなく「行っていいか」を考える

その姿勢を、これからも大切にしていきたいと思います。


最後に

旅は、予定通りにいかないからこそ、学びがあります。

そして、行かなかった場所があるからこそ、次の一歩に意味が生まれます。

今回の旅は、稚内に行けなかった旅でした。

でも、

自分の判断を信じるという点では、確かに前に進んだ旅でした。


(余市駅から歩いて、荒々しい冬の余市湾を眺めに)


(雪のため20分遅れで新千歳空港出発)

(今回の旅の思わぬ副産物)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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