今回の北海道旅行は、結果として「稚内に行けなかった旅」でした。
それは事実ですし、最初に描いていたゴールに辿り着けなかった、という意味では
未完の旅だったのかもしれません。
けれど今、振り返って強く思うのは、この旅は、私自身の仕事——登山ガイドという立場に、深くつながる旅だったということです。
判断とは、「正解を当てること」ではない
登山でも、旅でも、私たちはつい「正解」を探してしまいます。
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行くべきだったのか
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行かなかったのは臆病だったのか
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もう少し待てば状況は変わったのではないか
けれど、実際の現場にあるのは結果がわかる前の判断だけです。
天候、交通、時間、体力、経験。
限られた情報の中で、「今、この時点でどうするか」を決めること。
今回の旅で繰り返していたのは、まさにその連続でした。
ガイド業で、私が一番大切にしていること
登山ガイドとして、私が一番大切にしているのは、 「行くこと」ではなく、「無事に帰ること」です。
山頂に立つことは、確かに魅力的です。
けれど、山頂に立たなくても、価値のある登山はいくらでもあります。
むしろ、
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天候が崩れそうなとき
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ペースが想定より遅れているとき
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不安を感じる参加者がいるとき
そんな場面で「今日はここまでにしましょう」と伝える判断こそ、ガイドの責任だと思っています。
「行かない決断」は、失敗ではない
世の中では、撤退や中止、変更はどうしてもネガティブに受け取られがちです。
でも私は、行かない決断は、失敗ではなく“成功の一部”だと考えています。
無理をしない。
リスクを過小評価しない。
そして、次につなげる余白を残す。
今回の旅で稚内に行かなかったことも、まさにそれでした。
どうやって「行かない判断」を伝えるか
ガイドとして難しいのは、判断そのものよりも、伝え方です。
「残念ですね」
「今回は行けません」
その一言で終わらせてしまうと、どうしても“奪われた感”が残ってしまいます。
だから私は、なぜそう判断したのか その判断が何を守っているのかを、できるだけ丁寧に伝えるようにしています。
今回の旅でも、自分自身に対して、同じことをしていました。
辿り着けなかった場所は、次の理由になる
稚内は、まだ地図の先にあります。
けれどそれは、「失われた目的地」ではありません。
「次に行く理由が残った場所」です。
登山も同じです。
撤退した山は、次の挑戦を否定しません。
むしろ、より良い条件で、より良い判断をするための材料になります。
(日本最北端の地「稚内」)
この旅を、これからのガイドに活かす
今回の北海道旅行は、
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判断に迷う時間
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情報を集め続けた過程
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行き先を変える決断
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そして納得して帰る選択
そのすべてが、これから私が現場で行う判断の、確かな土台になりました。
「行けるか」ではなく「行っていいか」を考える。
その姿勢を、これからも大切にしていきたいと思います。
最後に
旅は、予定通りにいかないからこそ、学びがあります。
そして、行かなかった場所があるからこそ、次の一歩に意味が生まれます。
今回の旅は、稚内に行けなかった旅でした。
でも、
自分の判断を信じるという点では、確かに前に進んだ旅でした。
(余市駅から歩いて、荒々しい冬の余市湾を眺めに)


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